「どの要素も必要だし、全部見せたい」
そう思って制作物――たとえば操作説明動画やスライド資料など――を作っているうちに、主役がぼやけた構成になった経験はありませんか?
私自身、制作を進める中で「これも入れておこう」「あれも説明しておいた方がいい」と情報を積み重ねていった結果、受け手がどこに注目すればいいのかが見えないアウトプットになってしまったことがあります。
この記事では、情報を並べる前に「何を主役にするか」を決めることが、制作物の伝達にどれほど大きく影響するのかを、実体験を交えてお伝えします。
1. フォーカスとは「どれを主役にするか」を決めること
ここで言う“フォーカス”とは、「目立たせる工夫」や「目線の誘導」ではありません。制作者自身が、その制作物で何を一番伝えたいかを明確にすることです。
構成や演出は手段にすぎません。伝えたいことの「核」が定まっていないまま手を動かすと、すべてが中途半端なまま並んでしまい、結果として何も伝わらない制作物になります。
2. 主役が決まらないと、すべてが脇役になる
主役がないまま構成を組むと、以下のような問題が起きがちです。
・どれも重要そうに見えるが、どこに注目すればいいか分からない
・受け手にとっての「要点」がぼやける
・補足情報のはずの要素が目立ちすぎて、本筋から外れる
一見きれいにまとまっているようでも、「だから何?」が伝わらず、
情報を受け取る側の理解が深まらないのです。
3. 「伝えたいこと」から逆算して構成する
私自身、提案資料や操作動画をつくる中で、当初の主旨がどんどん薄れていった経験があります。
フレームワークに沿って情報を整理していくうちに、
最初に伝えたかったこととは少し違う方向に、気づかぬうちに寄ってしまったのです。
さらに、調べた情報をすべて盛り込みたくなり、「これも載せたい」「あれも補足しておいた方がいい」と補足が主役を押しのけてしまう構成になっていました。
最終的には、「この制作物で一番伝えたいのは何か?」を言語化し、そこを主軸にして補足を再配置し直しました。
結果、情報の位置づけが整理され、構成がわかりやすくなった実感がありました。
4. 小さな工夫でも、主役が引き立つ
構成の工夫だけでなく、演出にも同じことが言えます。
ある操作説明動画では、画面の上に別の画面を重ねて見せる場面がありました。
そのまま載せると情報がごちゃついてしまいましたが、下の画面に半透明のマスクをかけただけで、上に重ねた画面が自然と主役として際立ったのです。
とても簡単な処理ですが、「主役を明確にすること」を感じた瞬間でした。


まとめ:主役を決めるとは、目的に戻るということ
制作物において、構成を整えるよりも先にやるべきこと。
それは、「何を伝えたいのか」を自分で明確にすることです。
・主役は何か
・それを補う情報は何か
・その役割が構成・見せ方に反映されているか
この視点を持つだけで、情報の“配置”ではなく“意図”で組まれた構成になります。
私は今も、「調べたから載せたい」「非難されないように情報を詰めておきたい」と思うことがあります。
でも、そうした気持ちを一歩引いて、「誰に、何を伝えたくて、どう動いてほしいのか」という「主役」視点から構成を組み立てるようになりました。
主役を決めるとは、自分の伝える目的から情報の優先順位を選ぶこと。
その判断ひとつが、伝わるかどうかを左右します。
参照サイト
伝わりやすい資料を作成するコツ【プレゼン用から会議用まで】
https://x.gd/PHGh8
資料の訴求力を強める|抑えるべき3つの訴求面のポイントを徹底解説
https://x.gd/WYczE
デザイン迷子にならないために、最初に整理しておくべきこと
https://www.adobe.com/jp/information/creativecloud/design-iroha-beginner-1.html