はじめに
操作動画を制作していると、「何を伝えれば視聴者は正しく操作できるのか?」という問いに必ず直面します。
単に操作手順を見せるだけでは、視聴者が「なぜそれをするのか」「それで何が起こるのか」「どう判断すればいいのか」がわからず、操作の理解や実行が曖昧になりがちです。
そこでここでは、実際に制作を重ねて見えてきた操作動画に盛り込むべき主要な説明要素を整理し、それぞれについて実例を交えて紹介します。
1.説明に含めるべき主な項目とその意味(実際の例つき)
1.目的
その操作が「何のためにあるのか」
操作の“動機付け”
例:
「操作を行うとお子さまの給食献立とアレルギー対応を確認できます」
「この操作で献立メニューについて学校へ連絡することができます」
2.結果
操作完了後に「どうなるのか」
最終到達イメージ
例:
「承認済となり確認したことが学校へ通知されます」
「変更希望が完了すると学校へ登録したことが通知されます」
3.操作手順
具体的な操作アクション
やること・動作
例:
「『申請確認』をタップ」「『登録』をタップ」
「『保存』をタップ」など
4.UI
どこを見ればいいか・どう表示されるか
画面上の認知
例:
「色付けされた献立がお子さまのアレルギー対応」
「確認したい献立の▶をタップ」
5.判断の明示
操作が必要かどうか
ユーザーにとっての判断基準
例:
「アレルギー対応が不要な献立にはアイコンは表示されません」
「変更する対応の選択肢がない場合もあります」
6.具体的な操作事例
実際の操作場面
実作業イメージ
例:
「ここでは、先生からの差戻し内容を確認し、必要に応じて対応を変更します」
例:「ここでは、過去の献立のアレルギー対応を確認する方法を紹介します」
7.注意点
操作前に知っておくべきこと
制約や前提
例:
「施設コードは事前に通知されます」
「未承認のままだと献立が確認できません」
8.補足情報
補足的追加情報
その場では使わないが役立つ知識や機能
例:
「アレルギー対応表を出力できます」
「帳票はPDFで出力されます」
※例は「アレスク」操作動画テロップより抜粋
2.実際に制作していて気づいたこと
今回あらためて整理してみて、“目的”や“結果”だけでなく、より誤解なく操作を理解して実行してもらうために必要な項目があることがわかりました。
特に「UIの明示」や「判断の明示」は見落とされやすい要素です。しかし、実際に動画を視聴する側の立場になってみると、「どこを押せばいいか」「どの状態が“対応あり”なのか」といった判断の拠り所がないと、次の操作に進めないことがわかります。
視覚的な構造と意味の伝達をつなげるには、画面内のどこを見て、何をどう判断すべきかを、言葉と視覚で補完し合う設計が必要です。
3.この視点を、今後どう活かしていきたいか
今回の制作を通して、操作動画における説明要素を構造的に整理したことで、「このシーンではどの説明要素が必要か」を意識的に設計することの重要性をあらためて感じました。
とくに、視聴者がつまずきやすいポイントや、判断に迷う場面を先回りして補うような情報設計は、動画の質を大きく左右します。
今後も、説明要素をあらかじめフレームとして捉えながら、伝えるべき内容を取捨選択・構成していく視点を大切にしていきます。
このように、説明要素そのものを「構造的に扱う視点」は、今後の動画制作だけでなく、マニュアル設計や業務説明資料など他のアウトプットにも応用していけると感じています。
まとめ
操作動画に必要な説明要素は、以下の要素を状況に応じて選択し設計することが重要です。
なぜそれをやるのか(目的)
結果としてどうなるのか(結果)
何をどう操作するのか(操作手順)
どこを操作するのか(UIの明示)
どう判断すればいいのか(判断の明示)
実際の場面を示す事例(具体的な操作事例)
操作に必要な制約条件(注意点)
補助的な理解のための情報(補足)
これらの要素は、情報伝達設計の観点からも、「操作対象・判断基準・前後の文脈提示」が基本とされています。
操作説明動画制作では、これらの項目をフレームワークとして意識しつつ、操作の目的や視聴者の状況に応じて、取捨選択と構成を行うことで質の高い動画につながります。
参考サイト
マニュアル作成のコツは?|目的・手順・作成後にありがちな失敗を紹介
https://notepm.jp/blog/2381?utm_source=chatgpt.com
操作マニュアルはテンプレート活用で効率的に作成!おすすめサイトも紹介
https://onboarding.co.jp/blog/operating-manual-template
操作マニュアルとは? わかりやすいマニュアルの作成手順やポイントを解説
https://onboarding.co.jp/blog/operating-manual
UIデザインを理解する〜ヤコブ・ニールセンの10原則〜
https://www.cosmicengine.co.jp/knowledge/jacob-nielsen-10-principles/?utm_source=chatgpt.com