動画制作をしていると、
「まずパソコンで作り始めたくなる」ことがよくあります。
私は実際、作りたいイメージが少しでも浮かぶと、すぐにAfter Effectsを開いて、作業に入りたくなります。
ですがその結果、毎回のように同じ壁にぶつかっていました。
◆ 作ってから気づく「バラバラな仕上がり」
思いついた順にパーツを配置していくと、
あとになって全体がうまくまとまらず、「なんか違う」と感じることが多くなります。
そうなると、完成直前で
・テキストの配置を調整し直す
・色や構図を何度も見直す
・全体の構成を何度組み直す
という作業が必要になり、結局完成までかなりの時間がかかってしまいます。
◆ 改めてラフを描くようになって
制作関係の人から何度も「必ずラフを書いた方がいい」と言われ、私は自分の進め方を見直して、作業前にラフを描くようにしました。
最初に紙の上で全体の構成をざっくり描き、
各パーツで何を伝えたいのか、どんな表現で見せるのか
という方針をまとめてからパソコン作業に入るようにしました。
そうすることで、イメージも明確になり、最終的に仕上がりが整理され、制作のスピードも上がりました。

操作説明シーンラフ
◆ なぜラフが大事なのか?5つの理由
実際に自分の仕事に活かしてみて、ラフの重要性には以下の5つの理由があると感じています。
① 思考の可視化
ラフを描くことで、頭の中のぼんやりしたアイデアを見える形にできます。
パソコン作業では、思いついた要素をすぐ配置できますが、それは「考えた」のではなく、まず「置いた」状態になることが多くなりがちです。
紙の上に描くことで、構成・バランス・意図が自分にも他人にも伝わるようになります。
② 全体の設計と優先順位づけ
動画マニュアルも「見せ方」と「伝え方」の設計が必要です。
何を一番伝えたいのか、どこを削るべきか、どういう順番で見せるのかを考えるには、最初に全体を設計図として描くことが欠かせません。
ラフがあると、細かい表現に入る前に、全体の方向性が見えてきます。
③ 作業の迷走を防げる
以前の私は、途中で「なんか違う」と感じては何度も修正し、そのたびに時間がかかっていました。
でもラフを描いてから作業すれば、完成までの道筋が最初から見えているので、後戻りが減りました。
After Effectsの機能を使って何度もやり直すより、紙ですぐに書いて考え直す方が最終的には早く制作が完了します。
④ 自分の感覚と対話できる
ラフを描くときは、言葉で説明しにくい感覚や「なんとなくこうしたい」という気持ちも自然に表現できます。
その感覚を可視化することで、自分の直感と論理のバランスが取れるようになります。
手を使って書いているうちに、ここはこうした方がいい、こうしたいなども湧いてきます。
⑤ 他人との共有がしやすくなる
チームで作業をする場合、頭の中のイメージだけで進めていると、伝わりにくくなります。
ラフがあれば、「ここはこういう意図です」と伝えやすく、認識があった状態で、フィードバックも得やすくなります。
◆ ラフは「考えるための道具」
パソコンは仕上げるための道具、ラフは考えるための道具。
最初にラフを描くことで、余計な迷いが減り、意図を持って動画を制作することができるようになりました。
「とりあえず作る」から「考えてから作る」への切り替えは、仕事の質を大きく変えてくれました。
◆ まとめ
・思いつきで作り始めると、最後にまとめ直すのに時間がかかる
・ラフを描くことで、全体像と各要素の方針が整理される
・自分の感覚・意図・構造を視覚化できる
・他人にも共有しやすくなり、チーム作業がスムーズになる
・結果的に、無駄が減って完成度も高まる
最初に少しだけ時間を取ってラフを描くだけで、そのあとの作業はずっとスムーズになります。
目の前の作業に飛びつくのではなく、一度立ち止まって全体を見渡すことで、迷いなく、意図の通った制作ができるようになります。
今私は、「パソコンに向かう前に紙に向かう」ことを何とか習慣にしようとしています。
めんどくさくても、実際の作業に取り掛かる前には、一度ラフを描いてみる。そうすると作業の質もスピードも変わってくるし、作業中の混乱によるストレスが減っていきます(ストレス削減の効果が大きいかもしれません)。
同じようにラフを描くことが苦手な方がいたら、まずは一回、作業前にラフを書いてみてはいかがでしょうか。
◆ 参考サイト
ラフスケッチ(ラフ)はデザインに超重要【初心者デザイナーのための基礎知識】
https://mdjuku.jp/rough-sketch.html?utm_source=chatgpt.com
ラフを描くのは面倒?デザイナー目線で考えるラフデザインの意味https://www.eastern-inc.jp/blog/the-importance-of-rough-design/?utm_source=chatgpt.com
【Webデザイン初心者必見】ラフ制作の重要性と流れを解説!
https://ecco.co.jp/blog/wireframe/?utm_source=chatgpt.com