はじめに
操作動画を作っていると、こんな悩みにぶつかりませんか?
「全部丁寧に説明したら長すぎて見てもらえない」 「でも端折りすぎると、どこで何をしたのかわからなくなる」
説明しすぎると冗長になり、説明が足りないと不親切になる。 この“ちょうどいい”説明のバランスは、構成の設計でほぼ決まります。
この記事では、視聴者にとって「ちょうどよく伝わる」構成のコツを、具体的なパート設計と視点から紹介します。
1.まずは“誰に何を伝えるか”を決める
説明の深さは「対象」と「目的」によって変わります。
初心者向け:目的・背景・用語の解説が必要
中級者以上向け:操作手順だけに絞ってテンポよく
ポイント:誰向けかを明確にすることで、全員向けに全て盛り込む内容にならない、伝える情報の優先順位をつけられる
2.構成は「全体→部分」の順で設計する
最初に「何をする動画なのか」を明示してから、細部に入る構成にしましょう。
導入(目的・概要・成果物・結果のイメージ)
手順(段階的に区切って操作)
まとめ(結果どうなるか・ポイント・次のステップの予告)
ポイント:導入を入れると、動画全体の内容が整理され、その後に続く情報の過不足を防げる
3.操作ステップは「3〜5ステップ」で分割
人は一度に処理できる情報に限りがあります。
長い操作を分割することで、理解と記憶がしやすくなる
ステップごとに「なぜこの操作をするか」を一言添えると◎
ポイント:「理由を添える」と視聴者の納得度が上がる 例:「保護者に通知をするために、この操作を行います」
4.省略OKなポイントとNGなポイントを見極める
省略OK:
映像を直感見てわかる操作(例:画面をスクロールして)
規則的に繰り返す処理(例:同じ操作の繰り返し)
省略NG:
得たい結果に至るまでに必要不可欠な処理
設定値や選択肢によって結果が変わる操作
ポイント:「優先順位をつけて省略しつつ、重要なポイントはしっかり残す」が基本
5.声・字幕・強調の“役割分担”で整理する
構成のなかで情報の伝達手段を使い分けると、説明過多になりません。
音声ナレーション:背景・意図・理由など“補足”に使う
字幕・テロップ:手順・名称など“記録性が必要”な情報に
マウス・画面強調:視線誘導のための視覚的ガイドに
ポイント:多くの情報を文章だけで表現しない 操作画面、アニメーション、テロップ、ナレーションなどで伝えたいことを分散して伝える
おわりに
説明しすぎず、説明不足にもならないためには、「情報の優先順位づけ」と「構成の整理」が重要です。
そして、操作動画は“詰め込む”のではなく“選び取る”ことが大切です。
伝えたいことをしぼって、構成に沿って整理することで、わかりやすく伝わる動画が作れるようになります。
文章だけで説明しようとせず、操作画面、アニメーション、テロップなど複数の手法を使って見やすい動画を意識しましょう。
参考
認知的過負荷理論(Cognitive Load Theory)
https://note.com/sugo_ron/n/na8d0916b1f55
概要:人間のワーキングメモリには限界があり、情報を一度に詰め込みすぎると理解や定着を妨げる。
モダリティ効果(Modality Effect)
https://umujapan.co.jp/column/learning-technology-maruyama13/?utm_source=chatgpt.com
概要:視覚情報(映像・文字)と聴覚情報(ナレーション)をうまく組み合わせると、理解が促進される。
マイヤーのマルチメディア学習原則(Mayer’s 12 Principles of Multimedia Learning)
https://pressbooks.bccampus.ca/teachinginadigitalagejpn/chapter/9-media-design-principles/?utm_source=chatgpt.com
該当する原則例:
Coherence Principle(余計な情報は削る)
Signaling Principle(重要な部分を強調)
Multimedia Principle(視覚情報(絵・図)による学習促進)